脳神経内科
脳神経内科
脳神経外科が外科的なアプローチで脳の疾患に対処するのと対照的に、脳神経内科は、脳や脊髄、筋肉、末梢神経に生じる炎症、変性、血管障害、代謝・ホルモンなどの異常を原因とする疾患を総合的に診察する科で、頭痛、めまい、てんかん、パーキンソン病、そして認知症などに対して内科的なアプローチにより診断・治療を行っていきます。
また当院は、病状の進行具合を総合的に診断し、高度な専門的治療や外科的治療が必要な場合に脳神経外科や整形外科などの最適な治療を受けられる環境へ導く役割を担っています。
当院は静岡県が定める指定難病医療機関です。
頭痛や手のしびれ、手足の震え、めまい、動きにくさなど日常生活における気になる心配事などがありましたら、お気軽にご相談ください。
たとえ小さな違和感でも専門医がお話を伺います。
● 脳 神 経 内 科 の 代 表 的 な 疾 患 ●
脳卒中は、脳への血液供給が妨げられることによって引き起こされる病気です。主なタイプは脳梗塞と脳出血です。
脳卒中は、放置すると重篤な後遺症を残すことがあります。早期の対応が重要で、症状が出たら速やかに救急医療を受けることが必要です。予防には、生活習慣の見直しや定期的な健康診断が役立ちます。
てんかんの有名な症状は全身性のけいれんですが、一時的なしびれや認知機能障害、局所的なけいれんなどの症状を呈する場合もあります。
てんかんは、脳の異常な興奮が一過性に現れ、その興奮が広がった範囲によって異なる症状が出現します。原因としては先天異常や脳疾患などによって引き起こされた脳の損傷などが挙げられますが、原因が分からないこともあります。適切な治療とコントロールにより症状を最小限に抑え、穏やかな日常生活を送ることも十分に可能な病気です。
抗てんかん薬による薬物療法をはじめ、非薬物療法、手術など、てんかんの種類や症状の強さに応じて治療法を検討していきます。
パーキンソン病は、主に脳の黒質の神経細胞が進行性に障害されることによって引き起こされる神経変性疾患です。
主な症状に手や指の震え、筋肉の硬直、体の動きの鈍さ、姿勢の不安定性があります。診断は主に症状や神経学的な検査に基づきますが、画像検査や血液検査も行われることもあります。
治療としては薬物療法が挙げられ、リハビリなどと合わせることで症状の改善や進行の遅延を目指します。パーキンソン病の症状による生活への影響はさまざまありますが、適切な治療とサポートにより、自分らしい生活を送ることが期待できます。早期の診断と継続的な治療が重要であり、患者さまや家族にとっても最新の情報や病気・生活に対するサポートが必要となります。
アルツハイマー病は、主に高齢者に見られる神経変性疾患で、認知症の中で最も多くの割合を占めます。
脳の神経細胞が失われることにより、初期症状は軽い物忘れや見当識障害(時間や場所、人物を認識・理解する能力が低下した状態)から始まり、経過とともに認知機能全般に影響が及び、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる疾患です。具体的な原因は不明ですが、脳内の異常なたんぱく質の蓄積や神経細胞の変性が関与している可能性があります。診断は病歴問診や神経学的な検査、脳画像検査等に基づいて行われます。
アルツハイマー病は進行性であり時間とともに症状が悪化する病気であると言われています。日常生活や社会的な活動にも相互的に影響を及ぼします。現時点では治癒法はなく、症状の緩和や進行の遅延を目標に療法が行われます。ご本人と家族には病気に対する理解とサポートが不可欠であり、精神的側面の支援や社会的な資源提供が求められます。アルツハイマー病は患者さまとその家族にとって心身に影響を与える難病であり、専門医の管理と包括的なケアが求められます
当院では認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)のリスクを判定する血液検査やアルツハイマー型認知症の発症に関わる遺伝子検査も行っています。
多発性硬化症は、病変が“時間的・空間的に多発”する、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患です。
脱髄というのは、脳や脊髄、視神経といった神経系の神経線維を包む髄鞘の障害のことを言います。本来は病原体を攻撃する役割を担う免疫系が、自分自身を攻撃し中枢神経に炎症を引き起こした結果脱髄を呈する疾患が多発性硬化症です。この免疫攻撃により神経信号の伝達が妨げられ、視覚障害、筋力低下、感覚障害など多岐にわたる症状が現れます。また、病気が進行すると歩行障害や認知機能の低下も見られます。
診断には病歴や神経学的な検査、MRIなどが使用され、炎症や脱髄の進行を評価していきます。治療の目標は、脱髄の進行抑制と再発予防であり、主に病態修飾薬(疾患の発症や進行を抑制する薬)、必要に応じてステロイドや免疫抑制薬が使用されます。多発性硬化症は無治療では進行性の疾患であり、早期の発見と治療介入が重要です。」
脳炎・髄膜炎は、脳や髄膜(脳および脊髄をおおう膜)の炎症によって引き起こされる疾患であり、主に細菌やウイルス、結核、真菌(カビ)などによる感染症が原因となりますが、自分の免疫の作用で炎症が引き起こされる自己免疫性髄膜脳炎もあります。これらの疾患は頭痛、発熱、吐き気、けいれん、意識障害などの症状を引き起こし、診断には症状や神経学的な所見、脳脊髄液の検査、画像診断が活用されます。体に現れたさまざまな症状に対して対症療法により症状の緩和に努めます。また原因によって治療の選択は異なりますが、抗生物質や抗ウイルス薬、場合によってはステロイドなどの免疫治療を用います。